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SDGs未来都市の直方市の取り組みを、大学生が視察

8月31日、福岡未来創造プラットフォームが、SDGsを学ぶ現地学習で直方市を訪れました。

このプラットフォームは福岡都市圏の大学・自治体・産業界で形成され、福岡市を中心とする高等教育の振興と地域社会の活性化を目的に活動しています。
・学生募集
・地元就職・定着
・大学・自治体・産業界交流
・地域人材育成
・生涯学習
の5つのワーキンググループがあり、今回の視察では地域人材育成のグループが本市を訪れ、SDGs未来都市選定を受けた本市の取り組みについて、午前中は現地見学を行い、午後は対面形式での講座を実施しました。

直方市のSDGsの取り組み

住み続けられるまちづくりを

樋門管理システムに関する研究

みなさん「樋門」って知っていますか?
樋門とは、生活排水や雨水を堤防の中を通して河川に流すために堤防に設置されている施設です。

知古柳原に設置された樋門

普段は、街の中から川へ流れている雨水などの生活排水ですが、大雨などで川の水位が高くなると、川の水が樋門を通して住宅側へ流れ込み街中で浸水被害が発生します。
そのため、本来であれば川へ流れだす水が逆流を始めると、樋門の扉を閉めて逆流による浸水被害を防ぎます。

直方市の中心部を流れる遠賀川には、約1,000か所の樋門があり、そのうち約7割が現在も手動で開閉されています。その樋門の開閉を担当する操作員は、緊急時すぐに対応できる方、つまり自営業の方や定年退職後の60歳以上の高齢の方が75%を占めています。

緊急時、大雨や暴風、雷の中での門の開閉作業は危険であり、後継者不足の問題も抱えています。

安心して住み続けられるまちづくりのため、本市では産学官連携して樋門管理を遠隔制御で電動化する実証実験を行っています。
実際に市内で実験中の知古柳原の樋門では、樋門にギアユニットを取り付け、モーターで樋門を開閉できるようにし、それを産業用コンピューターで操作できるようになっています。
水位センサーやIPカメラから、遠隔地でも水位や逆流状況を判断し、ボタン1つで操作が行えます。

現地での説明では実際に門の開閉を行い、学生からは「いつから実験を行っているのか」「今後新しく設置する樋門では最初から全自動になるのか」等様々な質問が飛び出し、本市のSDGsへの取り組みに関して、熱心に学んでいる様子でした。

AI・Iot基盤等先進技術を活用した農作業自動化プロジェクト

昨年1月のハウスの様子

福岡の特産品、あまおう。このいちごのハウスで、昨年、スマート農業の実証実験が始まりました。
最適な環境で栽培するには、ハウスのなかの温度や湿度、二酸化炭素濃度、水やりの調整など、膨大な作業が必要です。
それぞれの装置に自動設定があるとはいえ、毎日ハウス内の環境を確認し、水やりも現地に行って水栓を開閉していました。
省力化の取り組みとして、ハウス内外にセンサーを設置し、個々で使用していた機器を一括管理できる制御システムを構築。
タブレット等で遠隔操作や水やりの管理もできるようにしました。
これによりハウス内の環境のデータ化され、管理作業の省力化が実現しました。

ハウスの外にもセンサーが取り付けられている

「いちごでの実用以外に考えていることは?」との質問には「トマトやメロンなど他の農作物でも取り入れられる可能性がある」との回答があり、スマート農業の導入による環境への影響やシステムの操作性など、興味津々な様子でした。

行政手続きのオンライン化

直方市では令和3年2月にDX推進本部会議を立ち上げ、DX推進を進めています。

本市では1)内部事務の効率化、2)行政サービスの利便性の向上、3)地域の情報化の3つの柱で進めています。
市民のみなさんに大きく関係のあるのは2)行政サービスの利便性の向上でしょうか。
行政手続きは今まで書面で行われたり、開庁時間に合わせて問い合わせたりと、何かと不便な面がありました。
そこで手続きのオンライン化を進め、現在では130手続きが市役所に来なくても出来るようになっています。
今後さらに進め、2024年には300手続きをオンライン化する計画となっています。

講義の中では実際に、水道の使用開始の手続きを体験してもらいました。

スマホで行政手続きを体験

他にもSDGsの取り組みについての説明を受け、自治体の課題解決への取り組みを肌で感じた学生達。

本市副市長からは「何かを変えたい、良くしたいという志と、その人たちの努力で今の社会が出来ている。固定概念にとらわれないで、新しい発想力でこれからの社会に貢献してもらいたい」と学生たちにエールが送られました。

SDGsに興味があり参加したという学生は、「知らないことを知ることができ、大変勉強になった」と話しました。

今回の気付きが学生の今後の行動に繋がり、これからの時代を切り開いていくきっかけになったのではないでしょうか。

直方市は、SDGs未来都市としてSDGs(持続可能は開発目標)の達成のため、上記のような取り組みを進めるとともに、公民学連携による学びの提供も含め持続可能な取り組みを進めていきます。